政権交代から2年。タリバン政権とアフガニスタンの今

2023年8月、世界中で様々な支援活動を展開する日本寄付財団の村主悠真代表が、アフガニスタンのカブールとバーミヤンを訪れ、道路や学校の修繕に向けて視察を行いました。アフガニスタンでタリバンが政権を握って2年経った現状や課題についてお伝えします。

アメリカ軍撤退後のタリバン政権について


アメリカ同時多発テロが起きた2001年以降、アフガニスタンに駐留するアメリカ軍兵士の犠牲は死者約2,500人・負傷者2万人以上になり、アメリカでは早期撤退を求める世論が高まっていました。トランプ前政権は2020年2月、カタールのドーハでタリバン側と和平合意を締結しました。そして2021年8月にはアメリカ軍のアフガニスタン撤退が完了し、タリバン政権が復活しました。タリバンは2001年にアメリカ軍の侵攻によって政権を追われて以来、20年ぶりに政権を取り戻すことになりました。

タリバンの復権が進むと同時に、戦闘から逃れた国内避難民が急増。国外からの支援は滞り、経済の低迷や食料不足、気候問題も深刻になっていて、人口の3分の2以上が人道支援を必要としている状況にあります。

タリバンは独自に解釈したイスラム法に基づく統治を行っています。女性は小学校までしか通えず、2023年7月には国内にある美容院を閉鎖することが決定するなどして、女性の教育や権利を制限しています。国際的な批判が高まる中、国連は再三にわたり事態の改善を求めていますが、タリバンは応じていません。

アフガニスタンの教育問題について

アフガニスタンでは、教師や学校施設の不足、貧困などを理由に、いまだに多くの子どもが学校教育を受けられていません。また、長く続く紛争やテロ、避難民の流入などにより、校舎のない青空教室で学んでいる子どもたちもたくさんいます。

前述の通り、女子生徒は男子生徒に比べ教育を受ける機会が少なくなっています。通うことが認められている小学校でさえ、卒業まで通うことができている女子生徒は全体のわずか40%です。また、アフガニスタンの15〜24歳の女性の識字率は56%となっていて、2人に1人しか文字の読み書きができません。(「世界子供白書2021」より)

日本寄付財団の村主代表は、今回のアフガニスタンでの視察において、タリバン政権との対話を果たしました。現地の小学校は、以前の爆撃により建物がボロボロになっていたり、机やペンがなかったりという状態でした。また、男女別で授業を受けなければならず、午前中は男子生徒、午後は女子生徒というように振り分けられているため、必然的に勉強時間が足りていません。現地の人々からは、「子どもたちがゆとりをもって勉強できる環境を望んでいる」との声があったそうです。

日本寄付財団 村主代表 視察を通して見えてきたもの

村主代表からアフガニスタンへの思いについてコメントをいただきました。

「アフガニスタンは世界でも有数の制限が強い国です。この制限が20年、30年と続いた後に、国民はどうなっていくのかという視点で考えています。国民の可能性が狭められている一方で、タリバン政権の考える正解が果たしてどんな未来をもたらすのか。

アフガニスタンに生まれ、制限を受けてしまう子どもたちには何の罪もありません。過酷な環境の中での勉強を強いられる状況を、アフガニスタンに生まれたから仕方ないよね、と簡単に片付けることはできません。国としての経済力がそもそも弱いにも関わらず、その上、勉強する機会までも制限してしまっては、子どもたちがそこから這い上がって生きていくのは容易でないということは想像に難くないですよね。

世界中で紛争が起きている今、どこに支援を行うのが正解なのか、優先順位をつけることはとても難しいです。日本やアメリカという先進国でさえ、たくさんの課題を抱えているという状況ももちろん理解しています。根本的に国を変えることはできませんが、せめてできるところからアフガニスタンの支援を行っていきたいなと考えています。」

ニュースだけでは分からないアフガニスタンの現状も、実際に現地に赴き、対話することで見えてくるものがあります。今後のアフガニスタンへの支援に関して、日本寄付財団 村主代表の活動に注目です。

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