school 学校詳細

アルウェダ校

Alwahda school

イエメン共和国

Al Jufainah Camp, Maarib, Yemen

教育機関: 小学校・中学校・予備学校

生徒数: 3250

支援者: 佐々木 泉

アルウェダ校は2018年に創設され、小学校・中学校・予備学校(就学前に通う幼稚園に当たる施設)を有する公立学校である。生徒は主に内戦から逃れて故郷を離れた、国内避難民(Internally Displaced Persons、以下IDPs)の子どもたちであり、5歳から17歳の男子1,450名、女子1,800名の合計3,250名がアルウェダ校に通っている。IDPsが集まって暮らすAl-Jufainaキャンプ内に位置しており、建物ではなくテントが教室として使用されている。50名(男性20名、女性30名)の教員に加え、7名(男性4名、女性3名)の教員がボランティアとして指導にあたっている。

困っていること

アルウェダ校は紛争地域から逃れて来たIDPsの増加により、受入れ可能なキャパシティを越えて生徒を受け入れている状態にある。そのため、教室内が過密になり、文房具や制服、かばんなどの学用品も不足している。また、5年以上にわたって教室として使用されているため、施設の劣化が見受けられるが、政府からの支援が行き届かず、適切な学習環境を保つための修繕等が行えていない。それだけでなく、不安的な経済状況に加え、前線地帯にあるマアリブ地域の流動的な情勢により、資金を確保することは難しくなっている。設備面でも、特にマアリブ県は夏から秋にかけて気温が高く、日中は40度にも達するが、電気設備やエアコンが設置されておらず、生徒が集中して学習に打ち込むことが難しい状態にある。学校と外の敷地を分けるフェンス等もないため、⽣徒の無断退出が学習の遅れに繋がるリスクがある。
加えて、データを管理するためのコンピュータや書類を整理する戸棚、コピー機等の教員が必要とする備品が不足しており、教員向けのトレーニングやボランティア教員への財政的なサポートも必要とされている。

現地の状況

イエメンでは長引く紛争の影響で、世界最悪の人道危機とも言われる状況が8年以上にわたって続いている。国連の報告によると、イエメン全体での内戦による子どもの死傷者数は2015年から2022年までに11,000人以上にのぼり、約590万人の子どもが質の保たれた教育を受けられていない状態にある。このうち150万人の子どもがIDPsとなっており、その中には学校教育にアクセスできていない子どもも存在する。
本事業対象地とする、イエメン政府とフーシ派の戦闘の最前線にある中部のマアリブ県では、フーシ派による支配から逃れてきたIDPsが国内最多の約160万人生活しており、マアリブ県内の人口の9割をIDPsが占めるという深刻な過密状態にある。このような状況下で、IDPsや脆弱なホストコミュニティ世帯は教育をはじめ、食料や住居、医療サービス等を受けることができておらず支援を必要としているが、アクセスの困難性などから国際機関等からの支援も十分ではない。教育分野においては、学校機関のキャパシティの問題で、教育へのアクセスが制限されるIDPsの子どもたちのニーズに対応するため、学校70校の修繕やメンテナンスを行い、700教室を提供することが現地政府機関より喫緊のニーズとして挙げられている。
また、約76%のIDPs世帯は収入手段がなく自立的に生計を成り立たせていくのが難しい状況に置かれており、このような先の見えない生活の中で、金銭や物資と引き換えに子どもが武装勢力に差し出されてしまったり、彼ら自身が武力勢力に加入する等の負の対処メカニズムを採らざるを得ないリスクを抱えている。実際にイエメン国内のフーシ派支配領域では、リクルートされた子ども兵が前線に送られ負傷する例も確認されており、子どもたちは内戦の影響により、教育機会を奪われているだけでなく、戦闘や暴力に加担するリスクにも晒され得る。このような暴力及び負のメカニズムからの子どもたちを保護するためには、基本的なニーズでもある基礎教育を受ける機会、及び健やかな成長をできる学校環境を提供することは重要であり、マアリブ県においても、受け入れキャパシティの拡大と適切な学校教育環境の整備が喫緊の課題となっている。


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