school 学校詳細

カリド・ベン・アルワリド校

Khalid Ben Al-Walid

イエメン共和国

Alhusun street, Alrumaila, Almadina, Maarib, Yemen

教育機関: 小学校

生徒数: 430

支援者: 金政 桂子

カリド・ベン・アルワリド校は2009年に創設された公立の小学校である。学校が位置する地区は人口が集中する街の中心部であり、内戦の影響により故郷を離れてマアリブ県に避難してきた国内避難民(Internally Displaced Persons、以下IDPs)が多く暮らしている。学校に通う子どもの中にはIDPsも含まれ、1年生から6年生までの生徒数は430名となっている。4名の男性教員に加えて、8名のボランティア教員(男性3名、女性5名)が指導にあたっている。

困っていること

カリド・ベン・アルワリド校は内戦の影響により、IDPsが学校周辺で急増したことから、入学を希望する子どもの数が大幅に増加し、学校側の受け入れ可能なキャパシティを超えている。それでもなお、新規に入学を希望する生徒が少なくとも20名〜50名程度いるとされているが、教室や学用品等が不足している現在の状態では、新規生徒の入学を延期せざるを得ない状況にあり、当該地区に暮らす子どもたちが適切な教育を受けることができていない。そのため、教室を増築し、受け入れ生徒のキャパシティを拡大することが喫緊の課題となっている。
一方で、一部の学級では生徒の数が既に60名を超えており、教室内の過密な状態も報告されている。このような生徒数の増加に伴い、教科書や制服も不足している。加えて、教科書や本を適切に保管する場所がなく、風雨にさらされる状態となっているほか、適切な教育を提供するために教員の休息室等も要望されている。

現地の状況

イエメンでは長引く紛争の影響で、世界最悪の人道危機とも言われる状況が8年以上にわたって続いている。国連の報告によると、イエメン全体での内戦による子どもの死傷者数は2015年から2022年までに11,000人以上にのぼり、約590万人の子どもが質の保たれた教育を受けられていない状態にある。このうち150万人の子どもがIDPsとなっており、その中には学校教育にアクセスできていない子どもも存在する。
本事業で対象地とする、中部のマアリブ県はイエメン政府とフーシ派の対立の最前線にあり、戦闘の影響を最も受けやすい地域である。実際にフーシ派による支配から逃れてきたIDPsが国内最多の約160万人生活しており、マアリブ県内の人口の9割をIDPsが占めるという深刻な過密状態にある。このような状況下で、IDPsや脆弱なホストコミュニティ世帯は教育をはじめ、食料や住居、医療サービス等を受けることができておらず支援を必要としているが、アクセスの困難性などから国際機関等からの支援も十分ではない。教育分野においては、学校機関のキャパシティの問題で、教育へのアクセスが制限されるIDPsの子どもたちのニーズに対応するため、学校70校の修繕やメンテナンスを行い、700教室を提供することが現地政府機関より喫緊のニーズとして挙げられている。
また、約76%のIDPs世帯は収入手段がなく自立的に生計を成り立たせていくのが難しい状況に置かれており、このような先の見えない生活の中で、金銭や物資と引き換えに子どもが武装勢力に差し出されてしまったり、彼ら自身が武力勢力に加入する等の負の対処メカニズムを採らざるを得ないリスクを抱えている。実際にイエメン国内のフーシ派支配領域では、リクルートされた子ども兵が前線に送られ負傷する例も確認されており、子どもたちは内戦の影響により、教育機会を奪われているだけでなく、戦闘や暴力に加担するリスクにも晒され得る。このような暴力及び負のメカニズムからの子どもたちを保護するためには、基本的なニーズでもある基礎教育を受ける機会、及び健やかな成長をできる学校環境を提供することは重要であり、マアリブ県においても、受け入れキャパシティの拡大と適切な学校教育環境の整備が喫緊の課題となっている。


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