境界のない学区、世界の子どもたちが学び描く大円『maaaru プロジェクト』とは

2022年10月に始動したmaaaruプロジェクト。田上事務局長に、maaaruについて詳しくお話を伺ってきました。

maaaruとは?

maaaruのプロジェクトについてお聞かせください。

maaaruとは、世界初の本格的な教育ネットワークの構築を目指すプロジェクトです。

地域の格差に関係なく、生きていくための心配ごとがない状態で、希望を持ちながら等しく学ぶ機会を世界中の子どもたちへ届けたい、そんな思いでこのプロジェクトがスタートしました。

現状、教育を受けられない途上国の子どもたちは約3億人いると言われています。その3億人全てとは言わないまでも、今年度中に500〜1,000校、2025年までには約1万校を目標に子どもたちを受け入れる体制を整えていきたいと思っています。

なお、2022年11月現在は200校を支援しています。

maaaru発足の経緯にはどのようなものがあったのでしょうか。

子どもたちをとりまく現状をもっと世界中に広めていきたい、具体的に動くため、多くの人に関わってもらいたい、寄付をきちんとした文化として世界中に定着させたいという3つの思いが重なってこのプロジェクトが発足しました。

小さく始まった活動が、その思いに賛同し参画してくださる皆さんによって、動き始めたのです。

maaaruの名前の由来を教えてください。

正解の、上も下もない世界中を争いのないにしたい、そして

本来の地球の形を取り戻したい、そういった思いから、maaaruと名付けました。
あえて日本語のネーミングとしたのは、日本語の『平和』を基調とした利他の精神を輪を持って尊ぶとする在り方・関わり方について、他の国にも、もっと広めたいという思いからです。

また、支援される側から、支援する側へとゆくゆくは循環していくことでプロジェクトの目的として掲げている教育のプラットフォームを全世界に創り上げていきたいそういった意味が込められております。

1人につき1校100万円の寄付でどのようなことができるのでしょうか?

国や地域によって様々ですが、学校が必要な地域に学校を建てたり、元々ある学校の水道設備やトイレ・屋根・壁など建物の修復をしたり、グランドの整備や塀の設置、学用品や教材の補充、給食の補助などができます。

過去に先進国の富裕層が寄付として建てた学校が、運営まで手が回らず放置されている学校も多く、それらの校舎を修繕して連携している現地NPO法人に管理や運営をお願いすることで、より効率的に支援の輪を広げることができます。

 田上事務局長の活動への思い

maaaruに携わろうと思ったきっかけをお聞かせください。

わたしには21歳の息子がいますが、息子がまだお腹にいるときに9.11の同時多発テロが起きました。報道を見て、こんな世の中でわたしは子どもを安全に育てることができるのだろうかと不安になると同時に、もしこの子が元気に成人した暁には、世界が不安定な状況に陥らないようにするための活動に関わろうと心に決めました。

そして子どもが成人した段階である程度やりたい仕事はやり尽くしていた中で、代表の村主と出会いました。平和について真剣に考える人が携わっているこの活動に、ぜひ関わりたいなと思って飛び込みました。

事務局長としてどのようなことをやっていきたいですか?

わたしは、子どもたちが夢を持って学べる環境が大切だと思っています。支援者からいただいたお金を、受益者である子どもたちにとってどうすれば意義のある活用ができるのか、またそれをきちんと継続できる状況にするにはどうしたらよいか、そのような点に注力しながら活動しています。

実際に活動に携わって、嬉しかったことや大変なことを教えてください。

現地の子どもたちが、目をキラキラさせてありがとうと言ってくれることはとても活動の糧になりますね。寄付をしてくださった方々の”自分がこの子たちの『あしながおじさん』になっている”という強い思いも伝わってきます。

1支援者が1学校を持つ形なので、子どもたちも助けてくれた人がはっきりと分かるんですよね。拠り所があるということ、繋がりを持てるということはすごくいいシステムだなと思います。

支援してくださる方には自分のお金がどのように使われたのかを納得していただかなければいけませんが、現地の要望とうまくすり合わせができない場合はとてももどかしい気持ちになります。

また、2025年までに1万校を支援するためには、優先順位を決めなければなりません。まず着手しなければいけない学校はどこなのかを決め、その基準に合わなかった場合は、もう少し待ってくださいと言わなければならないことがとても心苦しいです。

maaaruが描く未来とは

長期的な目標を教えてください。

1万校を達成することができると、途上国1カ国につき20箇所ぐらいは学校がある状態になっていると思います。それらの学校を通じて、世界中のスーパースターや博識で才能がある方たちの授業をサテライトで届けようと考えています。

そうした様々なネットワークを通じて、子どもたちが地域格差や文化といった枠を飛び超えて、学びの情報を受け取ってもらえる状況にしていきたいです。それが最初に申し上げた、maaaruプロジェクトの教育ネットワークの構築に繋がっていきます。

今後はどのような活動を展開されるのでしょうか?

まずは寄付してくださった支援者の皆さんと学校の情報を紐付けてホームページ上で掲載する準備をしています。1つの学校に寄付していただくことを1maaaruという単位で呼んでいるのですが、この方は今何maaaruなのかを見える化していきます。

金額が大きいことと、私たちの思いを正しく伝えながら広げていきたいという思いから、今現在は口コミでドナーを募っています。ですが、これからはたくさんの方に関わっていただけるように、企画を立ち上げてイベント形式で皆さんに周知しようと考えています。

また、ドナーの方に実際に自分が寄付した学校を見てもらうドネーションツアーも行っていて、毎月1回、違う国に向けて支援していただいた方、もしくはその国への寄付や観光に興味がある方をお連れするツアーも組んでいます。今後それらの報告会も一般の方に向けてお知らせする予定です。

ゆくゆくは寄付の意識を変えたいなと考えています。自分たちがご飯を食べるのと同じように、この分は寄付に回そうという形で、日常に寄付を溶け込ませる形を目指していきたいですね。

田上事務局長ありがとうございました。今後の活動を楽しみにしています!

*今後は、各国の現状や支援者の方へのインタビューを掲載していきます。

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