school 学校詳細

ランダカイル高校

Landa Khail High School

アフガニスタン・イスラム共和国

Landa Khail, Pachir Agam

教育機関: 教育省

生徒数: 2252

支援者: 浅井 千晴

本学校は1969年ごろに設立されました。パチェラガム郡では珍しく、一部校舎が残っている学校です。1970年代からアフガニスタンは長い紛争状態が続いていたため、その間に学校は軍事利用されたり、戦闘の巻き添えとなり破壊されたりと被害を受けてきましたが、断続的に、教員と生徒は戦闘状態が収まった際には子どもたちが通学し、可能な限りの授業を行ってきました。現在はおよそ20教室(部屋)が建物内に残っておりますが、2部屋は警備・用務員室、2部屋は倉庫、2部屋が職員のために使われているので、実際に教室として使えるのは14教室です。一方で生徒数は非常に多く、2部制に分かれており、男子生徒は12年生まで合計28のグループ、女子生徒は6年生までで26グループ在籍していますが、それぞれその半数のグループが屋外で授業を受けています。

困っていること

半数以上の生徒の授業は屋外での実施を余儀なくされています。プラスチックシートやカーペットを敷いた上に座って授業を受けています。石の多い地面と木陰の少ない屋外での授業は厳しい状況です。特に、この地域は山岳地帯にあるため、10月にもなると寒さが増し、子どもたちは寒さに耐えながら授業を受けていますが、11月からの本格的な冬の間は積雪や道路の凍結もあって寒さが厳しく、授業を継続するのが困難となる場合も多くあります。また雨天では授業は中止、夏の直射日光や地熱で体調を崩す生徒も後を絶たず、このような劣悪な状況で適切な教室が不足していることを理由に、学校に通うこと自体を諦めてしまう子どもも多くいます。 また、この地域では気温差が極端で、砂嵐なども起こるため、保護者らも屋外での授業に不安を覚え、子どもたちを学校に通わせたくないと考えている家庭もあり、多くの子どもたちの継続的な学習が実現していません。また、本学校では半分のグループのみが校舎の中にある教室で授業を受けられているため、生徒の間で不公平を生んでいることも、大きな悩みの一つとなっています。

現地の状況

ナンガルハル県でも特に険しい山岳地帯にあるパチェラガム郡は、1970年代のソ連侵攻から近年まで、国内でも最も紛争が激しかった地域の一つです。2019年ごろまではタリバンと「イスラム国(IS)」、政府軍、外国軍など様々な勢力間の紛争が続いていました。この紛争により、多くの男性が亡くなり女性のみが残された世帯や戦争孤児が増え、大きな怪我や障がいを負った脆弱性の高い人々も多く生活しています。2021年8月からはタリバンが国を制圧しているため、現在はこれまでの戦闘状況はなくなり、安全な地域に戻っています。地域の人々は今こそ子どもたちが安心して教育を受けられる環境を切望しています。なお、中学以上の女子教育を禁じているタリバン当局も、小学校の女子生徒が安全に学習できる環境の支援自体には同意しています。学びを継続できない女子たちは家から出られず、経済・食料危機等も相まって、女子たちの児童労働や早婚を助長しています。また、中学以上の女子教育が禁止されていることに対して、国際社会は抵抗の声を挙げていますが以前状況は変わらないままです。本事業では女子校ないしは共学校でも女子生徒が多く在籍する学校に焦点を当て、対象校を選定しました。また、パチェラガム郡では、女性教員の数も不足しており、女子生徒及び女性教員への支援を実施することは社会的にも大きな意義があります。 今回設置するのは仮設教室用テントですが、本来であれば丈夫な建物内に教室を設置することが望ましく、ひいては同国の女子教育の再開を含む長期的な課題解決を模索する必要があります。紛争や政変の大きな波に巻き込まれ、不安定な生活や教育環境の下で生きてきた子どもたちが、よりよい環境で学びの機会を得ることは、本来誰もが持つべき権利であり、子どもたちの健全な成長に必要不可欠であると考えます。私たちは「教室がない」という理由で学習が妨げられている子どもたちにとって喫緊のニーズに応えるべく、本事業を実現させたいと考えています。


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