子ども兵のウガンダ帰還を願って

1980年代から続いていたウガンダ政府と反政府勢力との長期にわたる内戦では、多くの国内避難民を生み出し、反政府軍は子どもたちを誘拐し子ども兵として戦争に参加させてきました。2006年8月、ウガンダ政府と反政府勢力との間で停戦合意が結ばれたものの、今もなおその爪痕は残っています。そんなウガンダの現状を認定NPO法人テラ・ルネッサンスの小川真吾さんに伺いました。

ウガンダでの支援について

停戦合意以降、ウガンダ北部の状況は落ち着いてきたため、子どもたちが新たに誘拐されることはなくなったものの、いまだにコンゴや南スーダンといった中央アフリカに拘束されている状態が続いています。わたしたちはウガンダから連れ去られた子どもたちが帰還できるように呼びかけたり、帰還後の子どもたちの社会復帰の支援を行ったりしています。

正確な人数は分かりませんが、1,000〜2,000人くらいの子どもたちがいまだに帰還できていないのが現状です。子ども兵といっても連れ去られてから15年以上経過しているので、現地で強制結婚させられ家族を作っているケースも多くなっています。

子ども兵が抱える不安に寄り添う

連れ去られた子どもたちは、もちろん被害者ではありますが、ゲリラ兵として何年も活動してきたため、ウガンダに帰還しても自分は犯罪者扱いされるのではないか、ウガンダで被害にあった方には受け入れてもらえないのではないか、また、戦いしかやってこなかったので、ウガンダに戻っても仕事や生活ができないのではないかといった不安を抱えており、なかなか帰還に踏み出せない状況にあります。わたしたちはそのような不安に対して、プログラムをこなしてもらい手に職をつけることによって、社会復帰することを支援しています。

しかし一方でわたしたちだけでは解決できない課題もあります。連れ去られた土地で結婚し家族ができた場合、ウガンダの人たちはもちろん帰還することはできますが、パートナーや子どもも一緒にとなると、ウガンダ政府からの許可がおりません。家族をおいて帰還することに躊躇してしまう人も多く、大きな問題として立ちはだかっています。また、ウガンダ国内においては、自分の子どもが誘拐された経験のある人たちは、子ども兵の帰還についてポジティブに捉えていますが、ゲリラ軍に家族を傷つけられた人たちの中には、子ども兵に差別や偏見を持っている方がいらっしゃるので、やはり一筋縄ではいかない難しい問題だと思います。

ぜひ現地で体感を!

アフリカは日本からはとても遠い国ですが、良いところはたくさんありますので、ぜひ多くの方にドネーションツアー等を利用して足を運んでいただけると嬉しいです。先日maaaruのドネーションツアーでウガンダへ来られた方から、アフリカのイメージがガラッと変わったと言っていただけました。そのように、現地ではニュースだけでは知ることができないリアルを体感することができます。

また、現在ブルンジでのツアーも計画中です。ブルンジはコンゴの隣にある世界最貧国であり、わたしたちの活動拠点の一つです。こちらにもぜひお越しいただきたいですし、プロジェクトにも参加していただければなと思います。

認定NPO法人テラ・ルネッサンス

https://www.terra-r.jp/index.html

「すべての生命が安心して生活できる社会(世界平和)の実現」を目的に2001年10月に設立。団体名称のテラはラテン語で「地球」、ルネッサンスは英語で「再生、復興」という意味があり、テラ・ルネッサンスという名称には「よみがえる・蘇生する」といった意味が込められています。

「地雷」、「小型武器」、「子ども兵」、「平和教育」という4つの課題に対して、現場での国際協力と同時に、国内での啓発・提言活動を行うことによって、課題の解決を目指す。

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